さきがけ、CREST一覧(修正版)

さきがけ

  氏名 所属機関 役職 研究課題名 研究課題概要
平成18年度 1 鈴木 孝幸 東北大学
加齢医学
研究所
助教 指の個性の決定メカニズムの定量発生生物学による解明  ヒトを含めた陸上四肢類は手足に5本の指を持っており、それぞれの指は前後軸上に沿って特徴ある形態をしています。本研究は、肢芽に発現する分泌因子などのシグナルの出し手の細胞群の空間的な位置情報と、シグナルの受け手の細胞群の時空間的な応答能の情報を、新たに提唱する「定量発生生物学」を用いて解析することにより、なぜそれぞれの指の形が異なるのか、その発生現象を生化学的・数理学的に解明します。
2 好田 誠 東北大学
大学院
工学研究科
助教 半導体へテロ界面のスピン軌道相互作用制御による電気的スピン生成・検出機能の創製  半導体ヘテロ界面のバンド不連続に起因したスピン軌道相互作用を積極的に活用し、磁場や強磁性体、偏光を必要としない半導体のみによる電気的スピン生成・検出機能を創製します。これまで未開拓であったスピン軌道相互作用の空間・時間変調を用いることによりスピンに依存した力やスピン流を誘起することが可能となります。半導体のみを用いるため既存の半導体プロセスと整合性が良く、将来性の高いスピン機能創製技術への展開も期待できます。
3 塚崎 敦 東北大学
金属材料
研究所
助教 酸化物界面への電気的・磁気的機能性の付加と制御  本研究では、酸化物を対象に原子レベルで急峻な界面を創成し、電気的・磁気的機能性の制御を目指します。酸化物は多様な構造と物性を有する物質群であり、酸化物界面においても界面磁性や高移動度2次元電子ガスなどが注目されています。機能性を制御するためには、界面での構造安定性を理解することが重要な課題となります。急峻な界面形成技術を構築し、さまざまな酸化物へと展開することで、新たな機能性の発現が期待されます。
4 佐藤 義倫 東北大学
大学院
環境科学
研究科
助教 グラフィン融合助剤を用いた高強度軽量カーボンワイヤーの創製  本研究では、1本のカーボンナノチューブの持つ高強度機械特性を、バルク領域まで反映させた高強度軽量のカーボンワイヤー創製技術の確立を目指します。具体的には、アセンブリー技術によりカーボンナノチューブ繊維を作製し、この繊維にグラフィン面結合・融合助剤を添加し、回転かつ引張応力を負荷しながら熱処理することにより、個々のカーボンナノチューブ同士を融合させ、高強度軽量カーボンワイヤーを創製します。
5 竹延 大志 東北大学
金属材料
研究所
准教授 有機レーザートランジスタの創製  有機半導体は材料設計の自由度が極めて高く、多彩な発光色および高効率発光が実現でき、多方面での発光素子応用が期待されていますが、電流励起レーザーデバイスは未だに実現されていません。本研究においては、これまでのダイオード構造とは全く異なる斬新な切り口として、高効率発光材料を用いた有機単結晶トランジスタの両極性化により高効率発光・高電流密度を両立し、世界初の有機レーザーデバイス実現を目指します。
6 松井 淳 東北大学
多元物質
科学研究所
助教 界面場を用いたナノ材料集積化技術の創製  本研究は液/液界面をナノ材料集積場として用い、ナノ材料の簡便かつ汎用性のある高密度集積技術の創製を目的としています。まず、カーボンナノチューブ(CNT)を用い、界面エネルギーや電場・磁場などを操作することによって高配向高密度CNT集積膜の構築を目指します。そして、この技術を無機材料・有機材料・無機有機ハイブリッド材料などから構成されるナノ材料へと展開します。
7 笠井 均 東北大学
金属材料
研究所
准教授 有機ナノ結晶を用いた次世代型光機能材料の創出  本研究では、独自に開発した有機ナノ結晶の作製方法「再沈法」により、サイズ・多形が完全制御された有機ナノ結晶の作製を達成します。その後、一個、一個の有機ナノ結晶の方位が制御されたナノ結晶配向材料を創製し、偏向発光材料や光スイッチング材料のような次世代型光機能素子としての応用展開を目指します。従来にない発想に基づく有機ナノ結晶配向材料が実用化されれば、明るさやコントラストが飛躍的に向上した次世代ディスプレーの実現などの波及効果が考えられます。
平成19年度 8 福村 知昭 東北大学
金属材料
研究所
講師 ワイドギャップ強磁性半導体デバイス  光触媒性や透明導電性を持つ酸化物半導体である二酸化チタンに少量のコバルトをドーピングすると室温強磁性が発現します。このコバルトをドープした二酸化チタンの中にある電子の電荷とスピンを電気や光を用いて制御し、強磁性のスイッチングなどスピントロニクスのデバイス実証を試みます。さらに、将来のエレクトロニクスに役立つと期待される半導体スピントロニクスデバイスが室温で身近に使えるようになることを目指します。
9 齊藤 英治 東北大学
金属材料
研究所
慶應義塾
大学
理工学部
専任講師
教授 誘電体スピントロニクス材料開拓とスピン光機能  CMOS技術では実現困難なデバイス機能創出の原理として、スピン自由度とスピン流を利用する「スピントロニクス」があります。スピントロニクス機能を最大限引き出すため、ナノ構造誘電体中のスピン波スピン流を利用します。スピン流と電場・光とが強く結びついた誘電体スピントロニクス材料を開拓し、エネルギー損失が極端に小さくコヒーレントな電場・光制御が可能なスピン流情報輸送処理デバイス構造の開発へ結実させます。
10 片山 竜二 東北大学
金属材料
研究所
東京大学
大学院
新領域創成
科学研究科
助教
准教授 極性ワイドギャップ半導体フォトニックナノ構造の新規光機能  GaNやZnO、CuClといった極性ワイドギャップ半導体は、非線形光学定数が大きく、励起子が安定に存在し、かつ磁性元素添加により室温強磁性を示すことが知られていますが、これら高次光物性を利用した素子応用研究は少ない状況です。本研究では、これらを用いたフォトニックナノ構造を作製することで物質と光の相互作用を増強し、波長変換素子やポラリトンレーザ、光アイソレータなど光機能素子を創出することを目指します。
平成20年度 11 藪 浩 東北大学
多元物質
科学研究所
助教 メタマテリアルの自己組織的作製とナノリソグラフィーへの応用  波長よりも小さい金属-誘電体の周期構造は、負の屈折率を持ち、回折限界以下の光を投影できるメタマテリアルとなることが報告されています。本研究では、自己組織化により内部にナノサイズの相分離構造を持つブロックコポリマー微粒子を作製し、ナノメッキ技術により金属化することで、紫外・可視光領域におけるメタマテリアルとします。これをレンズに用いることで、回折限界を超えるナノリソグラフィー技術の確立を目指します。
12 梅津 光史 東北大学
大学院
工学研究科
准教授 ナノ界面特異的バイオ接合分子を用いた多元ナノ結晶集合  本研究は、有機・無機材料結晶面を自発的に識別し結合できるペプチド・抗体分子断片を構成要素として、積み木細工様式で自在なバイオナノ接合分子をペプチド・蛋白質工学的に発想・調製します。そして、バイオナノ接合分子を用いた、不均一界面結晶構造が設計されたナノ結晶粒子を合成し、ナノ粒子表面構造とバイオナノ接合分子の架橋プログラムに沿った異種ナノ結晶粒子のフラクタル的ボトムアップ集合を確立します。
13 大野 和則 東北大学
大学院
情報科学
研究科
講師 ロボットの視覚・触覚を用いた環境情報獲得手法の開発  実世界に存在する未知の情報や変化する情報をロボットが自ら集め、地図を構築することを目指します。本研究では、その基盤技術となる実世界の物体情報を視覚と触覚を用いて自ら集める移動ロボットの知能を開発します。視覚情報とは対象の形状・色・動きに相当し、触覚情報は対象とロボットの接触位置と接触力に相当します。視覚情報に基づき“仮説を立て”、触覚情報により“仮説の確認”を行い、未知情報を獲得します。

番号欄が白いプログラムは創刊号で掲載もれでした。訂正し関係者にお詫びいたします。

CREST

  氏名 所属機関 役職 研究課題名 研究課題概要
平成18年度 1 川崎 雅司 東北大学
原子分子
材料科学
高等研究機構
教授 酸化物・有機分子の界面科学とデバイス学理の構築  酸化物半導体・強相関酸化物・有機分子などで構成される2次元界面を対象に、異種物質の電子状態をつなぎ合わせて電荷を注入し、自己形成する絶縁層を介した電界効果で電荷を蓄積する新手法を開発します。これらの界面における電子・磁気・光機能を雛形デバイスとして実証し、エレクトロニクス材料としての基礎を構築します。
2 山中 一司 東北大学
未来科学
技術共同
研究センター
教授 多種類の危険・有害ガスに対する携帯型高感度ガスセンサシステム  安全のための重点課題として、多くの種類の危険・有害ガスを高感度で迅速に検知する技術が求められています。本研究では、球の弾性表面波(SAW)が平行ビームを形成して多重周回する現象を用いて吸着分子による特性の変化を高精度に計測するボールSAWセンサを高度化し、MEMSによるガス分離カラムと組み合わせて環境中の多種類のガスを検知し、センサネットワークに発信する携帯型の高感度センサを開発します。
3 松岡 隆志 東北大学
金属材料
研究所
教授 温度安定性に優れた光通信用InN半導体レーザの研究  高度情報化社会の発展のため、通信システムの低価格化と大容量化が望まれています。このような状況の中で、温度安定性に優れた光源が期待されています。我々は、青色発光ダイオード用材料である窒化物半導体の内のInNが赤外域で発光し、その効率と波長の温度安定性が優れていることを、見いだしました。本研究では、InNを発光材料とする通信用レーザを実現します。このレーザは、砒素や燐を含まない低環境負荷素子という特徴も有します。
平成19年度 4 坪内 和夫 東北大学
電気通信
研究所
教授 ディペンダブルワイヤレスシステム・デバイスの開発  広域・超高速ワイヤレスアクセスを実現するために、複数の無線通信システムを統合し、伝送距離・通信速度・消費電力・QoS の最適制御を行うディペンダブル Wireless NGN LSI の実現を目指します。周波数領域等化補償の適用などにより低 BER を実現するブロードバンド・オールシリコン Mixed Signal CMOS チップセット開発を行います。高速移動と超高速通信速度を両立する無線端末の実現に寄不します。
5 尾辻 泰一 東北大学
電気通信
研究所
教授 グラフェン・オン・シリコン材料・デバイス技術の開発  グラフェン・オン・シリコン(GOS)材料・プロセス技術の開発を通して、相補的スイッチングデバイス(CGOS)及びプラズモン共鳴テラヘルツデバイス(PRGOS)技術の開発を行います。これにより、シリコンテクノロジーをベースとしながら、キャリア輸送限界を超えた新しい超高速大規模集積デバイスの実現が期待されます。
平成20年度 6 岩井伸一郎 東北大学
大学院
理学研究科
准教授 先端超短パルス光源による光誘起相転移現象の素過程の解明  光電場の振動を数周期分しか含まない極短パルス光(可視〜中赤外、テラヘルツ)を用いて、光と物質の相互作用の中でも、最も劇的で複雑な現象“光誘起相転移現象”の解明に挑みます。光が直接あるいは、相互作用を介してドライブする電荷、スピン、格子の素過程を明らかにし、さらに、強相関電子系物質の電子的性質を光で自由自在に変化させる方法への道を拓き、光でのみ可能な物質相の創成や光源開発の方向性を与える成果を目指します。
7 佐藤 俊一 東北大学
多元物質
科学研究所
教授 ベクトルビームの光科学とナノイメージング  ベクトルビームは、偏光、位相および強度分布を同時に、かつ精密に制御することで初めて形成される、全く新しい最先端レーザービームです。ベクトルビームの斬新で機能的な特徴が顕著に現れる、焦点付近での光の振舞いを系統的に探り、新しい光科学領域の開拓を目指します。さらに、材料科学・生命科学との融合研究を推進し、遠視野でのナノイメージングを可能とする、未踏の超解像度光学顕微鏡法の開発を進めます。
8 西澤 松彦 東北大学
大学院
工学研究科
教授 電気化学的な異種材料ナノ集積化技術の開拓とバイオデバイス応用  タンパク質や細胞の接着、有機・無機材料の析出、などの界面における組織化現象をナノスケールで誘発する技術を創出し、マイクロ構造体へのバイオ・分子機能の搭載を可能にします。そして、この異種融合プロセスを駆使するバイオ-有機-無機複合集積によって、筋肉細胞と電子デバイスが導電性高分子で接続されたハイブリッド細胞チップや、酵素反応で駆動するスイッチ素子などの開発に挑戦します。
9 高井 俊行 東北大学
加齢医学
研究所
教授 受容体制御による新しい免疫療法の構築  IgGおよびMHCクラスIの抑制性受容体であるFcgRIIBとLILRBなど免疫制御性受容体を標的としたアレルギー、自己免疫疾患の新たな治療法を構築します。γグロブリン大量静注療法のポリッシュアップ、アゴニスティックリガンドなどの開発を通じて自己寛容力をエンハンスし、さらに免疫系ヒト化マウスNOGにおいてこれら前臨床研究を成熟させ、ヒト免疫系の制御に活用できるレベルにまで展開します。
10 小谷 元子 東北大学
大学院
理学研究科
教授 離散幾何学から提案する新物質創成と物性発現の解明  すぐれた物性機能をもつ新物質創成は安心・安全で豊かな社会を支える基盤であり、従来の経験則を超えて物性の予測をする新理論、計算モデル、シミュレーション技術が強く求められています。本研究では、局所的な性質が大域を制御する仕組みを離散幾何学の知見で解明し、数理モデルの構築、その数理解析およびシミュレーションによる物性予測から化学工学における新物質創成までを貫く新しい指導原理の確立を目標とします。
11 遠藤 哲郎 東北大学
学際科学
国際高等
研究センター
教授 縦型ボディーチャネルMOSFETとその集積プロセスの開発  本研究では、デバイスのボディー領域全体を電流駆動領域とする新概念の縦型構造トランジスタのデバイス技術に加えて、その回路設計・材料・プロセス技術までを一貫して開発します。これにより、平面型MOSFETと比較して、駆動電流特性、リーク電流特性、集積密度を大幅に向上させた半導体LSIの新しいユニバーサル技術プラットフォームを提供することを目指します。
12 前川 禎道 東北大学
金属材料
研究所
教授 数値シミュレーションによる新材料・新機能の開発  次世代集積化デバイスには電流のみならずスピン流も活用することが期待されています。本研究課題では、スピン流の効果も加味した一般化方程式による数値シミュレーション技術を構築し、電流とスピン流の熱的性質および相互変換プロセスを明らかにし、新しいスピン流応用デバイスに適した新材料・新機能の開発に向けた探索・提案を行います。
13 栗原 和枝 東北大学
多元物質
科学研究所
教授 表面力測定によるナノ界面技術の基盤構築  研究代表者が開発したツインバス型表面力装置と共振ずり測定法を中心手段として、機能デバイス設計や反応場として重要な固-液界面の特性・機能を、分子レベルで解明・制御する新規ナノ界面技術の基盤形成を目的とします。特に、界面の液体をも機能分子として捉え、装置開発など新規アプローチを創製し、(1)金属も含む機能界面の特性評価、(2)束縛液体の特性、光反応機能の解明、(3)界面の高次階層機能構造制御などの研究を行います。
14 下村 政嗣 東北大学
原子分子
材料科学
高等研究機構
教授 階層的に構造化されたバイオミメティック・ナノ表面創製技術の開発  生物に見られる自己集合・自己組織化による階層的構造化とそれに基づく機能発現を模倣して、ボトムアップ型生産技術としての「バイオミメティック・エンジニアリング」を体系化するために、散逸構造のように無秩序から規則構造が形成される「物理的プロセスとしての自己組織化」と、無電解メッキなどの「化学プロセスによる構造形成」を組み合わせ、ナノからミクロンにいたる多種多様な表面を階層的に加工する技術を確立します。

1)番号欄が白いプログラムは創刊号で掲載もれでした。訂正し関係者にお詫びいたします。
2)番号欄が水色の部分は採択年度を平成18、19年度として間違って掲載したプログラムです。平成20年度に訂正し、お詫びいたします。

さきがけ採択件数 / CREST採択件数

東北大学が採択された戦略研究
-さきがけ、CREST(創刊号修正版)

競争的研究資金の獲得は大学の死活問題につながるもので、各省庁がさまざまな競争的な研究費を公募しています。もっとも代表的なものは文科省の科学研究費ですが、国の戦略的科学技術振興に関わって、多様な研究経費の公募があります。今回は「さきがけ」「CREST」について本学が獲得したものを紹介しますが、「クロスオーバー」創刊号に掲載したデータには多くの誤りがありました。訂正し、関係者にご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
 さて、「さきがけ」「CREST」については科学技術振興機構のホームページに簡略な説明がありますので、創刊号と同様以下に引用しておきます。

戦略的創造研究推進事業の趣旨

本事業は、社会・経済の変革につながるイノベーションを誘起するシステムの一環として、戦略的重点化した分野における目的基礎研究を推進し、今後の科学技術の発展や新産業の創出につながる革新的な新技術を創出することを目的としています。

戦略的創造研究推進事業の概要

国の科学技術政策や社会的・経済的ニーズを踏まえ、社会的インパクトの大きい目標(戦略目標)を国(文部科学省)が設定し、そのもとにJSTが推進すべき研究領域と、研究領域の責任者である研究総括を定めます。研究総括は、戦略目標の達成へ向けて革新的技術シーズの創出を目指した目的基礎研究を推進します。

本事業のうち、「CREST」および「さきがけ」では、研究総括が研究領域をバーチャル・インスティテュートとして運営します。研究領域ごとに研究提案(研究課題)を募集し、研究総括が領域アドバイザー等の協力を得ながら選考・選定します。研究領域のもとで、選定された研究代表者が研究チームを編成し(「CREST」)、または研究者が個人で(「さきがけ」)、研究を推進します。

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