日本学術振興会特別研究員採用について

(平成17~21年度)

「特別研究員制度は、我が国トップクラスの優れた若手研究者に対して、自由な発想のもとに主体的に研究課題等を選びながら研究に専念する機会を与え、研究者の養成・確保を図る制度です。JSPSのHPより

大学院生等への研究奨励金支給制度

日本学術振興会(以下「学振」という)は、学術研究の助成、研究者の養成のための資金の支給、学術に関する国際交流の促進、学術の応用に関する研究等を行うことにより、学術の振興を図ることを目的として設立された独立行政法人です。

学振では、学術研究の将来を担う創造性に富んだ研究者の養成・確保に資することを目的に、昭和60年度に「特別研究員」制度を創設しました。「特別研究員」制度は、人文・社会科学及び自然科学の全分野を対象に、大学院博士課程在学者及び大学院博士課程修了者等で、優れた研究能力を有し、大学その他の研究機関で研究に専念することを希望する者を学振の特別研究員等審査会における書面審査及び面接審査にて「特別研究員」に採用し、研究奨励金を支給する制度です。

特別研究員と受け入れ機関の拡充

平成14年度より、特別研究員制度の在り方に関する検討委員会の検討結果をうけて、特別研究員―PDの中から、特に優れた研究能力を有する者を従来よりもさらに優遇された待遇で採用する特別研究員―SPD制度が創設されました。同じく平成14年度の新規採用分からは、研究員の受入機関が拡充され、国内の大学等学術研究機関のみならず、国公立試験研究機関等での受入も可能となりました。

研究の場の転換、男女共同参画推進の立場

ところで学位取得後の早い段階から、研究の場を当該若手研究者の出身大学・研究科等以外の場で行なうことは、多様な研究環境の選択による研究者自身の研究能力の向上に繋がります。また、異なる経験を持つ若手研究者の受入による受入研究機関の研究の活性化などの観点から非常に重要であると考えられ、平成15年度特別研究員―PDの申請者からは、採用後、研究に従事する研究室を大学院在学当時の所属研究室(出身研究室)以外の研究室を選定することが申請時の条件となりました。

さらに平成18年度より、子育て支援や学術研究分野における男女共同参画を推進する観点から、優れた若手研究者が、出産・育児による研究中断後に円滑に研究現場に復帰できるよう特別研究員-RPDが創設されました。

研究奨励金額と支給期間

特別研究員の採用期間は2~3年間で、研究奨励金は、月額200,000~364,000円(予定額)、さらに毎年度150万円以内の研究費が交付されます。これまでの支給実績で見ると金額には分野によって大きな違いがあります。

主要十大学の採用状況

そこで、平成17~21年度までの5年間の主要10大学のSPD、PD、DC2、DC1とRPD特別研究員の採用状況についてのデータを集計してみました。なおDC1、DC2とは大学院博士課程在学者(DC1:1年次生DC2:2年次生から)で、PDが大学院博士課程修了者等、SPDが大学院博士課程修了者で特に優秀な者、そしてRPDが研究活動を再開(Restart)した博士取得後の研究者です。

図1 主要十大学における採用者数

区分別採用状況

図2 特別研究員区分でみた採用者数

採用者人数を特別研究員の区分でみると、DC2の学生が3,525人、DC1の学生が2,374人で一番多く、PDが1,039人でその次に並びます。博士取得後の研究者で研究活動を再開して採用されたRPDがこの5年間で約80人、もっとも少ないのはSPD研究員となっています(図2)。世界最高水準の研究能力を有する若手研究員を養成・確保する観点から設けられたSPDですが、全採用者数は35人、その内訳は東京大学がトップで15人、次に大阪大学6人、京都大学5人、名古屋大学4人の順となりますが、東北大学採用者はゼロとなっています。

研究領域別採用状況

領域別でみてみると、どの年度も数物が多く1,322人、その次は工学の1,052人と生物の1,040人となっています。(図3)

東北大学の場合、全採用者数583人のうちDC2の採用者が全体の5割以上で、PDはわずか10%にとどまっています。専門分野別でみると工学、数物、生物の3つの分野で多く採用されています(図4)。

データは、各採用年度の4月1日(RPD採用者については、採用開始日)時点の内容であり、その後就職等による中途辞退、受入研究機関・受入研究者の変更、DC採用者の学位取得等によるPDへの資格変更等が生じている場合があります。

デンベレル ドナイ記

領域別採用者数

東北大学種別採用者の推移

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