
新たな知を創造する基礎研究から出口を見据えた研究開発まで、さまざまな分野及びステージを対象とした「最先端研究開発支援プログラム」が平成21年9月4日に開催された第84回総合科学技術会議において決定されました。
7月に締め切られた同プログラムには全国から565件の応募があり、その中から30件の「中心研究者及び研究課題」が決定されました(表1参照)。東北大学は江刺正喜教授と大野英男教授の二つの研究課題が採択されました(表2参照)。また本学の客員教授で「融合領域研究合同講義」の発案者、田中耕一先生のプログラム(島津製作所)も採択されています。
同プログラムは「3〜5年で世界のトップを目指した先端的研究を推進することにより、産業、安全保障等の分野における我が国の中長期的な国際的競争力、底力の強化を図るとともに、研究開発成果の国民及び社会への確かな還元を図ることを目的」とした「研究者最優先」の研究支援制度として創設されたもので、平成21年度一般会計補正予算に盛り込まれた「最先端研究開発支援プログラム」の先端研究助成基金として2,700億円が計上されているので、1件当たり平均90億円の巨費が投入されることになります。
表1
最先端研究開発支援プログラム
研究機関別採択数
研究機関名 |
採択数 |
東京大学 |
11 |
東北大学 |
2 |
京都大学 |
2 |
大阪大学 |
2 |
慶應大学 |
2 |
北海道大学 |
1 |
筑波大学 |
1 |
東京工業大学 |
1 |
東京女子医科大学 |
1 |
九州大学 |
1 |
国立情報研究所等 |
1 |
テキサス大学 |
1 |
日立 |
1 |
富士通 |
1 |
東レ |
1 |
島津 |
1 |
合計 |
30 |
表2 本学で採択された最先端研究開発支援プログラム
氏名 |
江刺 正喜 |
所属 |
東北大学原子分子材料科学高等研究機構/教授 |
研究課題名 |
マイクロシステム融合研究開発 |
研究課題の概要 |
先端的なエレクトロニクス機器に不可欠な半導体集積回路について、ナノテクノロジー技術を活用して高付加価値化を図るとともに、産業界のニーズに合わせて多様な集積回路を自在に作製するシステムを世界で初めて構築する。これにより、携帯電話を始めとした半導体集積回路分野において日本が世界をリードする。 |
氏名 |
大野 英男 |
所属 |
電気通信研究所/教授 |
研究課題名 |
省エネルギー・スピントロニクス論理集積回路の研究開発 |
研究課題の概要 |
電子の持つスピンを利用することで、エネルギーを使わずに情報を記憶することができるスピントロニクス素子を用いた半導体論理集積回路を世界に先駆けて開発する。これにより、従来に比べてエネルギー消費量が極めて少ない電子機器の開発につなげ、省エネルギー社会の実現に貢献する。 |