国際高等融合領域研究所 平成22年度第2回セミナー

新たな企画による融合領域研究所セミナーを開催して

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■ 活発なインタラクティブディスカッション

9月21日(火)、平成22年度第2回国際高等融合領域研究所セミナーが開催されました。本セミナーは、「情報工学・社会領域基盤」と「生体・エネルギー・物質領域基盤」との合同で主催されました。今回のセミナーでは、「融合的アプローチによる問題解決のためのインタラクティブディスカッション」という副題を設け、これまでの融合研セミナーとは全く異なる形式で企画してみました。

従来の融合研セミナーでは、オーラルセッションでの発表が主だったのですが、今回のセミナーでは、融合研セミナーでは初の試みとなる「ショットガン講演+ポスターセッション」の形式で発表を行っていただきました。発表者は単に自身の研究成果を発表するだけではなく、研究内容の問題点を提示して聴衆に対して質問として投げかけ、聴衆から問題解決のためのヒントを得られるよう講演内容を工夫していただきました。すなわち、さまざまな分野の聴衆の方々から得られたヒントを「融合的アプローチによる問題解決」の糸口とし、発表者と聴衆との間での「インタラクティブディスカッション」を通じて、問題解決のためのブレークスルーを得ることで、研究内容が融合領域研究に発展する可能性を見出すことが大きなねらいでした。

発表者は特別研究員6名、博士研究教育院生2名、修士研究教育院生3名の合計11名であり、大変多くの分野の研究内容を聴講できるセミナーとなりました。特別研究員だけではなく研究教育院生に対しても広く発表希望者を募り、大変多くの方々に積極的にご発表いただきました。初の試みであるポスターセッションは、オーラルセッションと比べて講演者数が増やせる事やより深く対話的に議論が交わせることなど、異分野との融合をはかるという観点で非常に有意義なものであったと思います。

どの講演内容も大変興味深いものであり、非常に活発なインタラクティブディスカッションが行われていたように思います。ポスターセッション終了予定時刻を過ぎても、まだまだディスカッションが続くほどの大盛況となりました。本セミナーでのインタラクティブディスカッションが、発表者のみならず聴衆の方々にとっても、融合領域研究の可能性を見出すためのひとつのきっかけとなればよいと思います。(八巻俊輔)

■ 異分野融合のメリット

八巻特別研究員の方からセミナーに関する詳細な記述がありましたので、私の方からはセミナー終了後の事について少し書かせて頂きたいと思います。

ポスターセッションでは、聴衆の方にコメントを書いて頂きました。狙いは、発表が発表にとどまらず、聴衆からの意見を講演者にフィードバックする事で、講演者の研究のブレークスルーを図るためです。今回はあえて、一枚につき一名のコメントカードを用意し、発表の感想や意見などを、思うまま自由に記入頂きました。コメントの内容からは大きく3点分かる事がありました。1点目は、講演者が異分野融合を意識して聴衆に対し説明をしていた事です。発表者は、他分野出身にも関わらず、ポスターの内容や説明に対して不満を書いた方はいらっしゃいませんでした。これは、講演者が本会の趣旨を十二分に理解してくださった証であると思います。2点目は講演者の研究レベルの高さです。コメントには、“すばらしい”とか“すごい”と言った言葉が多く見受けられます。率直にこのような言葉を書く事ができるというのは、よほどの事だと思います。最後の3点目は、聴衆の方も融合しようとして、議論に積極的に参加して頂いた事です。コメントの中には、“こうしてみては如何か?”、“こうなったらどうなるのか?”と言った、踏み込んだ内容のものがありました。同分野での会議では良く見る事ができるこのような発言が、異分野の中で出てきた事は非常に驚くべき事であると思います。同時に、融合とはこのようなところから始まると改めて思い直しました。

講演終了後数時間も経たないうちに講演者の方からEmailを頂きました。ある方は、セミナー前までは発表内容が専門的で戸惑っていたが、いざセッションが始まると多くの方がポスターを訪れてくれて、非常に多くのディスカッションができたとおっしゃっておりました。またある方は、他(多)分野の方と話す事ができてとても有意義だったとおっしゃってくれました。これが融合研開催の大きなメリットだと思います。異分野の方との議論においては予想すらしない様な視点での切り口が存在します。そして、この切り口こそがブレークスルーを生み出し、その結果が融合による成果となりうるのではないかと思います。私も発表を行っていて多くの質問を受け、聴衆の方と一緒に考えました。非常に濃密で、新鮮で、今まで味わった事の無い様な感覚になりました。

唯一の心残りはセッションの時間が予想よりも“短かった”事でしょうか。実時間と感じる時間のギャップを埋めるのは難問の様に思え、私にはその解決の糸口すら見えません。(竹野貴法)

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