【海外研究集会発表支援プログラム報告】渡邊晶斗さんが ISHA2023 にて口頭発表をしました。

◇発表者◇
 渡邊 晶斗
 先端基礎科学領域
 博士研究教育院生2年
 工学研究科 応用化学専攻

◇学会名称◇
 8th International Solvothermal and Hydrothermal Association Conference (ISHA2023)
◇開催地◇
 バリャドリード・スペイン

◇開催期間◇
2023年9月10日 ~ 2023年9月13日

◇発表題目◇
Hydrothermal synthesis of surface-modified ZrO₂ nanoparticles for developing scintillation detectors

◇発表内容◇
本研究は、ニュートリノ実験のための検出媒体として一般的に用いられる、有機液体シンチレータという蛍光物質の開発を対象としている。素粒子由来の信号を実効的な感度で検出するためには、これらの液体シンチレータに金属元素を導入する必要性が生じるが、この金属導入に際して、シンチレータの発光性が損なわれてしまうことが課題となっている。そこで本研究では、優れた光学特性を示す有機無機ハイブリッド材料として知られているナノ粒子分散溶液に着目し、当該材料系のシンチレーション検出器への応用を試みている。これまでに、Zr原子の導入を目的として、シンチレータへの分散が可能なZrO₂ナノ粒子の開発を行ってきており、今回、このナノ粒子の添加によって、発光性およびZr導入量に優れた液体シンチレータを実現することに成功したため、本研究内容の発表に至った。

◇今回の発表によって得られた成果及び問題点◇
ISHA2023は水熱/ソルボサーマル法によって材料合成を行う研究者が集まる会議であったため、材料合成プロセスの観点で有意義な議論を行うことが出来た。特に今回は、合成パラメータの影響や設定指針に関して様々なアドバイスを頂く良い機会となった。また、ナノ分散系の応用例として、放射線計測デバイスが存在することはあまり認知されていないため、今回はそのような応用例をナノ材料合成の専門家に紹介できる良い機会であった。

◇今後の研究目標及び課題◇
長期安定性やスケーラビリティ等、本材料系の実用可能性を示すことのできるデータを収集していきたい。また、更なる検出器性能の向上を目指して、材料選定や合成パラメータ設定を見直していきたい。