【海外研究集会発表支援プログラム報告】李忠日さんが International Symposium on Shock Waves (ISSW)にて口頭発表をしました。

◇発表者◇
   李忠日
 先端基礎科学領域
 博士研究教育院生3年
 工学研究科 航空宇宙工学専攻

◇学会名称◇
 International Symposium on Shock Waves (ISSW)
◇開催地◇
 テグ・韓国
◇開催期間◇
2023年7月16日 ~ 2023年7月21日

◇発表題目◇
Switch of the Azimuthal Structure of an Underexpanded Jet in the Screech B mode

◇発表内容◇
7台の高速度カメラを用いて3次元可視化計測とマイクロフォン計測を同時に行い,両者の関係を線形モデルで繋ぐことで,3次元可視化計測(3次元可視化計測の撮影速度は5 kHz)の40倍となる200 kHzの撮影速度で3次元流体場を再構成できた.発表内容は,提案手法を用いてスクリーチ騒音に関連する流体構造の3次元非定常ダイナミクスについて議論した.音速より1.2倍速い超音速ジェット(マッハ1.2)では時計回りのヘリカル構造と反時計回りのヘリカル構造より形成されることを初めて可視化することができた.また,これらの重ね合わせと強さによって,マッハ1.2の超音速ジェットではヘリカルモードとフラッピングモードが時間的に入れ替わることを明らかにした.

◇今回の発表によって得られた成果及び問題点◇
発表が終わった後,提案手法と得られた結果について多くの質問を受けた.提案手法に関しては,「空間解像度はどのぐらいで,何を目的で再構成したか」と質問をもらった.これについて私は「空間解像度は低いため,小スケールの流体構造は再構成できないが,スクリーチ騒音に関連する流体構造は大規模乱流構造であるため,計測できた」と答えた.これより,本手法の限界を分かる機会があった.また,この限界を克服するための新たな方針を得た.
ISSWは衝撃波に関連する学会であるため,それに関連する発表が多かった.しかし,本手法は空間解像度が足りないため,衝撃波に関連する議論はできなかった.この問題を解決して衝撃波の議論を含めた発表を行うと,より様々な研究者にインパクトを与えられると思った.

◇今後の研究目標及び課題◇
小スケールの流体構造やジェットのショックセル構造は超音速ジェット騒音の発生メカニズムの解明に非常に重要である.しかし,高速度カメラで広画角・高空間解像度を両立した計測は不可能であり,本手法は超音速ジェット騒音の発生メカニズムを解明するに限界がある.従って,新たな計測方法や本手法のアルゴリズムを改良することで,新たな3次元時空間超解像計測の開発が必要である.これを目的としてこれから研究を進めて行くと予定である.