【海外研究集会発表支援プログラム報告】森冠太さんが META 2023にてポスター発表をしました。

◇発表者◇
 森冠太
 デバイス・テクノロジー領域
 博士研究教育院生2年
 工学研究科 電気エネルギーシステム専攻

◇学会名称◇
  The 13th International Conference on Metamaterials, Photonic Crystals and Plasmonics (META 2023)
◇開催地◇
 Paris, France
◇開催期間◇
 2023年7月18日 ~ 2023年7月21日


◇発表題目◇
Fabrication of two-dimensional magnonic crystal using yttrium iron garnets and non-magnetic metals

◇発表内容◇
磁性体中を伝搬する磁化の波動であるスピン波は、ジュール熱の発生しない超低発熱の情報キャリアとして注目されている。スピン波を制御するために、導波路上に形成された周期構造であるマグノニック結晶が広く研究されている。本発表では、二次元マグノニック結晶のバンドギャップの観測を目的として、イットリウム鉄ガーネット導波路上に銅のドットを周期的に配置することで、二次元マグノニック結晶を作製した。作製したマグノニック結晶中を伝搬するスピン波の透過率スペクトルを測定し、スピン波のマグノニック結晶に対する入射角度が10度から30度の範囲でバンドギャップが発現することを確認した。この実験結果は、三次元シミュレーションで計算した透過率スペクトルと良く一致した。

◇今回の発表によって得られた成果及び問題点◇
The 13th International Conference on Metamaterials, Photonic Crystals and Plasmonics (META 2023)はフォトニック結晶を始めとしたメタマテリアルの学会であり、スピン波に対する周期構造であるマグノニック結晶の研究を、フォトニック結晶の専門家に紹介できる良い機会であった。また、多くのフォトニック結晶に関する発表を聴講し、フォトニック結晶の構造の最適化手法や設計手法についての知見を得ることができた。本学会で紹介されていたトポロジー最適化やDeep Learningによる最適化手法は、原理的にマグノニック結晶に応用可能であり、今後の研究に是非利用したいと考えている。

◇今後の研究目標及び課題◇
二次元マグノニック結晶を曲げ導波路やスピン波の閉じ込めといったデバイスに利用するには、全てのスピン波の入射角度でバンドギャップが発現する必要がある。このバンドギャップを完全バンドギャップと呼び、今回作製した二次元マグノニック結晶構造では完全バンドギャップは発現しなかった。今後の研究では、数値計算によるバンド計算手法や三次元シミュレーションを用いて、完全バンドギャップが発現する二次元マグノニック結晶構造の探査を行う。