【海外研究集会発表支援プログラム報告】冨士田 壮佑さんがCnidofest 2022にて口頭発表及びポスター発表をしました。
◇発表者◇
冨士田 壮佑
生命・環境領域
博士研究教育院生3年
生命科学研究科 生態発生適応科学専攻
◇学会名称◇
Cnidofest 2022
◇開催地◇
アメリカ合衆国カリフォルニア州サクラメント
◇開催期間◇
2022年9月7日~2022年9月10日
◇発表題目◇
Distinct stem-like cell populations coordinate homeostasis and regeneration in Cladonema medusa tentacles
エダアシクラゲの触手再生における異なる幹細胞集団の寄与
◇発表内容◇
再生能力の高い動物の再生メカニズムを知り、再生医療のヒントを得ることを目的として、エダアシクラゲという日本の沿岸部に生息するクラゲを用いて原始的な再生メカニズムの解明を目指している。クラゲは再生能力を持つ動物の中でも神経や筋肉を持つ最も原始的な動物の一つだが、その再生原理はほとんど未解明である。そこで、私はクラゲの器官再生がどのように実現するのかを、幹細胞や再生芽(再生のタネとなる組織)に注目して研究している。これまでの研究の結果、触手の再生には元から存在し器官の恒常性に関わる幹細胞と、損傷に応答して活性化し再生に積極的に寄与する幹細胞の2つの幹細胞集団が関わることが明らかになってきた。クラゲを含む刺胞動物は、幹細胞を常に体に維持しており、これまではそれらの幹細胞を使うことによって再生を可能にしていると報告されてきたが、本研究はその通説を打ち破るような新発見となっている。
◇今回の発表によって得られた成果及び問題点◇
口頭発表、ポスター発表共に、アメリカを中心とした様々な国の研究者と議論を行うことができた。多くの研究者が幹細胞の供給源について興味を持ち、どのようにしてそれらを検証していくのか熱く議論することができ、これからの研究の方針を決めるいいアドバイスとなった。
◇今後の研究目標及び課題◇
再生時特異的に出現する幹細胞について、その供給源を調査する。刺胞動物では注目されてこなかった脱分化現象について、検証していきたい。そのために、エダアシクラゲの遺伝子操作技術の開発が必要になるため、ツール開発にも力を入れていきたい。