参加者からのメッセージ
交流会は、かけがえのない経験 |
私にとって交流会への参加は、研究者としての礎を築き、研究を続けていくにあたり、かけがえのない経験となりました。私は修士/博士教育院生として、生態学を専門とする研究室で、野外調査や飼育実験から複数ミジンコ個体群の同所的な共存を支える休眠の重要性を示しました。卒業後は、ミジンコの休眠を分子基盤からも明らかにするため、学振PDとして分子生物学分野の研究室に移りました。私はこの過程で、異分野研究を実施する面白さと同時に、難しさも数多く感じてきました。しかし、交流会で得たノウハウや人脈に助けられ、ここまで少しずつ、自身の研究を融合研究として広げることができているなと感じています。
博士課程の間は、交流会で知り合った先輩を通じて自分の所属する研究室にはない設備を借りることができ、異分野の実験や解析を教えてもらうことができました。また、交流会で多くの異分野研究を聞くことは、どんな発表が伝わりやすいかを学ぶ良い機会になりました。「異分野の研究者に対して自分の研究を伝える」という機会は決して稀有なものではなく、「異分野」のスケールが様々変わるだけで、そういう場面は多くあります。どんな場であっても、聴衆の立場に立って、適切に情報を取捨選択することが大事だと日々感じています。さらに、学振PD申請時には、交流会で知り合った方に申請書の添削もしていただき、どんな分野の人が読んでもわかりやすい申請書にすることができたと思っています。なにより、高い意識を持つ教育院生の仲間やFRISの先生方の研究の話を聞くことは、自分のモチベーションを保つ上でも不可欠でした。博士課程になると、多くの友人は就職で仙台を離れていくので、大学内で人脈を広げる機会は大変貴重です。また、純粋に研究の面白さを感じ、自分の研究の魅力も再発見できることは大きな励みになりました。
日々の実験や論文執筆で忙しく、交流会に足を運ぶことを面倒に思うかもしれません。しかし、それだけでは得られない、魅力的な世界がそこにはあります。自分の殻を破り、みなさんにもぜひ、積極的に交流会を楽しんでほしいと思います。
【記:平成31年度博士研究教育院生採用 丸岡 奈津美 さん】
交流会は、総合知鍛錬の場 |
全領域合同研究交流会とは何か?私は、この会を「総合知鍛錬の場」、平易に表現すると「研究はみんな違って、みんな楽しい」そんな会と思っています。
自分の研究を面白く話すのは難しい作業だと思っていて、私は交流会の発表ではいつも相手に伝わっているかどうか、実はかなり緊張しています。以前、あくまで各人は大学院で専門を極めつつあるエキスパートなのに、説明レベルを「中高生・一般の人」向けまで寄せてしまい「そんなこと知っている」と齟齬を生んだ経験があるからです。起承転結、自分の研究の5W1H(What, Who, When, Where, Why, How)を明確に、科学的にエッセンスを伝える。その訓練の場と思って、参加しています。
学際高等では融合研究実現を目標に掲げていますが、その実現が私の中で起こったエピソードを一つ紹介します。交流会にて、天文学の助教から”宇宙に打ち上げた望遠鏡で地球を観察する”「宇宙望遠鏡」についてうかがった時のことです。「地球を”宇宙空間の中の地球”として見るように、がんを”正常細胞に囲まれて生体内に存在する がん”として見てみたら?」という発想を得て、当時行き詰っていた研究の突破口になりました。がんと微小環境、という研究フィールドは既知のものでしたが、自分なりに納得し、今の研究での強力なモチベーションになっています。
研究には混沌から秩序を探り当てる美しさがあると思っています。交流会参加のために実験スケジュールをやりくりしなければいけないのは、確かに大変。それでも、研究して生きていこう、言うなれば混沌の中に身を投じようと決めた今、秩序の一欠片に出会うためにも私は交流会に行くのです。
【記:平成28年度博士研究教育院生採用 林 真貴子 さん】
運営委員からのメッセージ 《 東北大学クロスオーバーより抜粋 》