【海外研究集会発表支援プログラム報告】山中俊輝さんが CMCEE14にて口頭発表をしました。
◇発表者◇
山中俊輝
物質材料・エネルギー領域
博士研究教育院生2年
工学研究科 応用化学専攻
◇学会名称◇
14th International Conference on Ceramic Materials and Components for Energy and Environmental
Systems (CMCEE)
◇開催地◇
ブダペスト、ハンガリー
◇開催期間◇
2024年8月18日 ~ 2024年8月22日
◇発表題目◇
One-pot room temperature synthesis of In3Sn/γ-Ga2O3 core-shell nanoparticles via two-step sonication to EGaInSn alloy
◇発表内容◇
GaInSn共晶合金(EGaInSn)は融点が10.8 ºCの低融点合金であり、エタノールのようなアルコール中で超音波照射を行うことで、水と油のようにエマルション化させて微粒子を作製することができます。こうして得られたEGaInSn微粒子の分散液に対し、酸化剤としてヒドラジン水和物(N2H4•H2O)を加えて超音波照射を行うことで、Gaのみを酸化させ、In3Sn合金とγ–酸化ガリウム(Ga2O3)のコアシェルナノ粒子が得られました。金属と酸化物のコアシェルナノ粒子は、そのユニークな構造から触媒やセンサー等の機能が期待されますが、一般的な合成法では高温加熱を伴う他段階の製造プロセスが求められます。本手法は、室温で簡便にIn3Sn/γ–Ga2O3コアシェルナノ粒子を作製可能な超音波プロセスであり、他の液体合金へ展開することで、様々な金属・合金/酸化物のコアシェルナノ粒子の室温での簡便な合成が期待されます。
◇今回の発表によって得られた成果及び問題点◇
CMCEEは熱電材料・電池・触媒等、非常に幅広い分野においてセラミックスを取り扱う研究者が集まる国際会議であり、異分野における最先端の研究発表を聞くことで新たな研究指針を得ることができました。その一方で、今回の私の発表においては、そのような分野と関連付けて研究発表することができず、超音波を利用した材料合成プロセスの発表に留まってしまったため、あまり関心を得られなかったように感じました。
◇今後の研究目標及び課題◇
これまでの研究における材料合成条件の詳細な探索に加え、触媒活性測定等の物性探索に注力し、超音波を用いて室温で簡便に作製した材料がどれほど有用な材料であるかを実証していきたいと思います。今回の研究発表でお話ししたGa2O3ナノ粒子は、NO選択還元反応のための触媒や、CO2還元反応のための光触媒として高い活性が報告されており、今後はそれらの活性測定を行い、超音波法により得られるGa2O3基ナノ材料の有用性を確かめていきたいと考えています。