【海外研究集会発表支援プログラム報告】横田翔さんが 2023 AIAA SciTech Forum にて口頭発表をしました。

◇発表者◇
 横田 翔
 先端基礎科学領域
 博士研究教育院生2年
 工学研究科 航空宇宙工学専攻

◇学会名称◇
 AIAA Science and Technology Forum and Exposition (2023 AIAA SciTech Forum)
◇開催地◇
 Gaylord National Harbor, National Harbor, MD, USA
◇開催期間◇
 2023年1月23日 ~ 2023年1月27日

◇発表題目◇
 Unsteady three-dimensional wake structure behind magnetically levitated freestream-aligned circular cylinder

◇発表内容◇
 本発表では、気流と平行な円柱(全長直径比1.0)の背後に現れる非定常3次元後流構造と円柱に作用する空気力の関係解明を目的として実験により調査した結果を、速度場を用いた議論を中心に報告した。実験では、模型を磁気力によって浮揚・支持する0.3 m磁力支持天秤装置(MSBS)を風洞に接続し、非接触で面における速度3成分が取得可能なステレオ粒子画像流速測定法(PIV)を適用した、完全に非接触な流れ計測系を使用した。
 はじめに時間平均速度場から、実験において流れへの干渉がなく、円柱後流がきれいな軸対称流れであることを示した。つぎに、瞬間速度場から算出した後流位置および速度場モード分解の結果を示した。後流位置の周波数スペクトルは、無次元周波数0.135に明確なピークを示し、大規模渦放出と呼ばれる特徴的な後流構造をよく表すことを先行研究の報告と併せて確認した。モード分解からは、軸対称変動である再循環バブルポンピングと、反対称変動である大規模渦放出によるモードを特定し、各々の流れ変動を議論した。特に大規模渦放出に相当するモードからは、らせん渦構造の巻き方向の切り替わりが見られ、この点は非常に興味深い。

◇今回の発表によって得られた成果及び問題点◇
 本発表は磁力支持天秤装置に焦点を当てた特別セッションに組み込まれたため、流れ構造だけでなく、MSBSに採用されている模型位置捕捉センサ系や構築したステレオPIV計測系ついても議論できた。Old Dominion UniversityのProf. Britcherからはらせん渦の巻き方向の切り替わりについてコメントを頂き、先行研究では明らかにされていなかった点について興味を持っていただいた。

◇今後の研究目標及び課題◇
 再循環バブルポンピングと大規模渦放出の関係についてはいまだ明らかにされておらず、研究対象として関心がある点である。本発表内容にもあるように、各構造に相当するモードを特定したため、これらの関係性を周波数解析から明らかにする予定である。また、円柱の全長直径比が変化したときに後流構造にどのような違いが現れるかを調査する。