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概要

Co45

07学際高等研究教育院/学際科学フロンティア研究所 東北大学クロスオーバー No.45アルミニウムは最も豊富な、最も使用される非鉄金属材料です。天然には化合物のかたちで広く分布し、ケイ素や酸素とともに地殻を形成するおもな元素のひとつです。金属の中では軽量であり、軟らかくて展性も高いなど加工しやすい性質を持っています。そのため、一円硬貨やアルミ箔など生活に身近な用途から、自動車やパソコンなどに至るまで、幅広い分野に活用されています。めっき技術とは、表面処理技術の一種で、材料の表面に金属の薄膜を被覆する技術です。導電性の表面をめっき液に浸けて陰極につなぐことによってめっき処理が行われます。めっきによる成膜の目的には、防蝕、表面硬化、機能性付与( 機械的・電気的・磁気的・光学的特性) などがあります。特に、他の薄膜成膜技術より比較的高速で成膜できるので、数μ m から数10 μ m の厚い膜を成膜するのに役立ちます。しかしながら、アルミニウムは卑な金属であるため、標準水溶液系からのめっきは不可能です。アルミニウムをめっきするためには、有機溶媒系または溶融塩系が電解液として研究されつつあります。近年、有機物を含む室温イオン液体と呼ばれる室温域で液体を形成する室温型溶融塩も多く用いられています。アルミニウムはイオン化傾向が大きい割には表面に自然にできる酸化皮膜のために耐食性もあるので、めっきした膜がよく防蝕コーティングとして活用されています。我々は、材料科学と電気電子工学分野を融合し、めっきしたアルミニウムを将来のスマート社会を支える半導体・マイクロシステム応用に目指しています。その第一歩として、半導体業界で一般的に使用されているシリコン基板上に成膜し、膜の機械的・電気的・熱特性等を評価し、それらの制御方法を見つけ出しています。一方、マイクロシステムでの構造材としての応用を目指し、3 次元構造化技術も開発しています。本研究の結果は、将来めっきしたアルミニウムを用いた半導体・マイクロシステムの設計や作成等に役に立つと思います。歯や舌、唇などからなる「口腔」は人間の生活において様々な役割を果たしています。咀嚼・発音・表情、こういった口腔の機能は、おしゃべりをしながらの食事といった場面を想像してもらえばわかるように、人間の社会生活において必要不可欠です。人間は社会の中で生きています。社会における他者との関わり(Social relationship) および、そのコミュニティにおける集積(Social capital)は、ストレスの緩衝やサポートの授受、有益な情報の交換などを通して、メンタルヘルスをはじめ多くの健康状態の維持に有益な効果を有することが分かっています。先に紹介したように、口腔の機能も単に食べる・話すといった生理的な機能を超えて、コミュニケーションのような社会的な機能を有していると言えます。歯の喪失といった口腔機能の低下が健康状態を悪化させることは分かっていますが、そのメカニズムについて、今までは生理学的な側面からの説明を試みられることが多く、社会的な側面からの説明を試みた研究はほとんどありませんでした。そこで、私は口腔の機能とメンタルヘルスの関連に注目し、歯の喪失という形態的な口腔機能の低下が、食事や会話、表情といった社会的な機能にも影響し、それによりメンタルヘルスが悪化するというメカニズムを検証することにしました。日本老年学的評価研究(JAGES) は国内で最大級の地域在住高齢者を対象とした、長期追跡を行っている疫学データベースです。私はこのデータを用いて、研究に取り組んでいます。私の専門は疫学という医学の一分野であり、統計学的手法を用いた研究を行っています。現在は歯の喪失が、食事や会話、表情といった社会的な機能の低下を通して、抑うつの発症を引き起こすというメカニズムについて数理モデルを構築して、他の要因の影響を排除した上で、そのようなメカニズムが存在しているのかを明らかにしようと日々研究に取り組んでいます。「 マイクロシステム応用に向けたアルミニウムめっき技術」「 口腔の社会的な役割とそのメンタルヘルスへの影響」Muhammad SalmanAl Farisiデバイス?テクノロジー領域博士研究 教育院生3年工学研究科ロボティクス専攻草間 太郎人間・社会領域博士研究教育院生3年歯学研究科歯科学専攻