ブックタイトルクロスオーバーNo.43

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概要

クロスオーバーNo.43

05学際高等研究教育院/学際科学フロンティア研究所 東北大学クロスオーバー No.43私は、銅酸化物超伝導体という物質の性質理解を目的として、数値計算を用いた解析を元に、実験結果の検討や、新たな結果の予測を行うことで、その原理の解明を行っています。そもそも、超伝導体というのは、十分に低い温度で、電気抵抗値がほとんどゼロになるという物質です。この現象自体、非常に特異なものですが、その根本的な原理は、”電子が対を組む”という発想により、すでに理論的に解明されたと考えられています。現在までに、様々な物質が超伝導体と成り得ることが発見されており、それらには、鉄系超伝導体や有機超伝導体などといった物質の組成による分類や、トポロジカル超伝導体のような、超伝導状態の理論的構造を元にした分類がなされています。超伝導を示すという基本的性質は共通していますが、転移するための条件や、発現に必要となる電子対形成のメカニズムが異なるため、それらの理解を目的に、日々研究がなされています。私は、”銅酸化物”超伝導体という物質群を対象に研究を行っています。近年、ある構造を持つ銅酸化物において、試料作製時における還元処理の条件(温度や周囲の酸素分圧等)を変えることにより、超伝導状態が抑制され、ある種の磁性(反強磁性)が誘起されるという報告がなされました。私は、この原因を解明することを目指して、物質の基本的な電子状態を詳細に解析することのできる第一原理計算と、物質の主要な情報を抽出することで、銅酸化物に特徴的な電子間の強い相互作用を取り入れる事ができる、有効模型を用いた解析を行っています。現在までに、物質中に存在する酸素不純物が周囲の電子状態を電荷的、磁性的に大きく変化しうること、また、還元によってその濃度が変化することで、超伝導状態と反強磁性状態の競合関係が変化しうることが分かっており、この解析結果を元に、実験結果との比較や、新たな結果の予測を行うことで、その妥当性の検討を行っています。「 超伝導・磁気秩序間の競合関係の解明」山崎 国人先端基礎科学領域博士研究教育院生3年工学研究科応用物理学専攻安井 浩太郎生命・環境領域博士研究教育院生3年工学研究科電気エネルギーシステム専攻陸上と水中を自在に動き回るムカデから学ぶ柔軟な「身のこなし方」博士研究教育院生・安井浩太郎(工学研究科博士課程後期3年,日本学術振興会特別研究員)さん、東北大学電気通信研究所の石黒章夫教授、加納剛史准教授、スイス連邦工科大学ローザンヌ校のAuke J. Ijspeert 教授、オタワ大学のEmily M. Standen 准教授、北海道大学電子科学研究所の青沼仁志准教授の研究グループは、ムカデが陸上と水中を行き来する際の「身のこなし方」に着目することで、環境に適応して「理にかなった」運動パターンを生み出す制御のメカニズムを解明しました。この成果は、動物が環境に応じて柔軟に運動パターンを切り替えるメカニズムの解明につながると期待されます。また、地上でも水中でも自在に動き回れる、環境踏破能力の高いロボットの実現にもつながると期待されます。本研究成果は、2019 年12 月2 日(日本時間19 時00 分)に英国の科学誌Scientific Reports 電子版に掲載されました。(公開論文 https://www.nature.com/articles/s41598-019-53258-3)(動画 https://youtu.be/gLMrh_6r760)詳細は学際高等研究教育院ホームページをご覧ください。https://www.iiare.tohoku.ac.jp/newsNews安井浩太郎さんらの論文がプレスリリースされました