ブックタイトルクロスオーバーNo.41

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概要

クロスオーバーNo.41

Tohoku Un i v e r s i t yCROSS OVER No.4104本研究は、固体高分子形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)の触媒層における酸素輸送現象を原子・分子レベルで明らかにすることで、PEFC の高効率化を目指しています。PEFCは水素エネルギーを電気エネルギーに変換するデバイスとして、近年では特に燃料電池自動車のような車載用電源として応用が期待されています。燃料電池自動車は一般販売が開始されましたが、更なる普及には高効率化、低コスト化が課題となっています。特に自動車に必要な高出力運転時には触媒層と呼ばれる微細多孔体中の酸素輸送抵抗が発電効率を低下させてしまいます。より高効率に酸素を輸送することのできる触媒層構造を特定できれば、燃料電池の発電効率は飛躍的に向上します。触媒層は図1 に示すように白金触媒を担持したカーボン粒子から構成されており、それらの表面を高分子薄膜が覆っています。また、細孔径が数十~数百nm となっているため、空孔内を流れる酸素は連続体流れではなく、壁面での気体分子の挙動が支配的となるKnudsen 拡散によって拡散していきます。そのため触媒層における詳細な酸素輸送現象の解明のためには高分子薄膜表面での酸素散乱メカニズムから多孔体内部の輸送現象までスケールを横断した解析が必要になります。そこで本研究では高分子薄膜における酸素分子散乱現象を考慮した触媒層における酸素輸送現象のマルチスケール解析を行っています。高分子薄膜上の酸素分子の散乱挙動に関して、原子・分子個々の運動を計算する分子動力学法を用いて散乱特性を解析し、薄膜表面上の分子散乱メカニズムを明らかにします。その後,散乱挙動解析から得られた知見に基づいて表面での酸素分子散乱モデルを構築し、実際の触媒層構造に基づいた多孔体内部においてモンテカルロ法を用いた輸送解析を行います。これらのナノ・マイクロスケール数値解析によって、触媒層における酸素輸送抵抗の支配要因を特定し、高効率な酸素輸送特性を持つ触媒層構造を明らかにすることで、PEFC の高効率化に貢献していきます。遺伝子発現において、核の中の DNA(設計図)はmRNA としてコピーされ、細胞質のリボソームに渡り、リボソームは mRNAを元にタンパク質をつくる。遺伝情報の本体であるDNA は核の中に1 対存在するのみにもかかわらず、タンパク質は細胞質で何千何万と作られ、時空間的にも厳密に調整されている。この厳密な調節には、DNA から mRNAの転写段階のみならず、mRNA からタンパク質への翻訳段階も大きく関わっていることが明らかとなりつつある。リボソームによる mRNA の翻訳段階は、タンパク質の量、構造、細胞内局在、mRNA の安定性などを適切なタイミングで自在に制御する、非常に奥が深く興味深いステップである。以上のように、リボソームが細胞の状況を察知し、適切な遺伝子発現を導くメカニズムを明らかにするため、小胞体ストレス応答に着目した。分泌タンパク質や膜タンパク質は、小胞体と呼ばれる細胞内小器官で成熟化するが、小胞体内に未成熟・異常タンパク質が蓄積するとストレスに晒される。その際に誘導される小胞体ストレス応答により、タンパク質分解因子などをコードする遺伝子の転写が活性化することが明らかとなっていたが、翻訳段階の制御については不明な部分も多く残されていた。本研究では、最もシンプルな真核生物である出芽酵母(イースト菌)を用いて解析を行ったことで、リボソーム自身が修飾(ユビキチン化)を受けることが目印となり、小胞体ストレス時の翻訳を厳密に調節していることを見出した。現在までに、リボソームの修飾により翻訳が促進される遺伝子、反対に翻訳が抑制される遺伝子について解析を行なっており、その詳しい分子メカニズムについて明らかにしたい。「 高分子電解質膜上の分子散乱現象を考慮した触媒層における酸素輸送機構の解明」「 リボソームが制御する細胞ストレス応答」中内 将隆物質材料・エネルギー領域博士研究教育院生3年工学研究科 ファインメカニクス専攻松木 泰子生命・環境領域博士研究教育院生3年薬学系研究科 生命薬科学専攻研究教育院生の研究紹介