ブックタイトルクロスオーバーNo.39

ページ
3/4

このページは クロスオーバーNo.39 の電子ブックに掲載されている3ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

クロスオーバーNo.39

03学際高等研究教育院/学際科学フロンティア研究所 東北大学クロスオーバー No.39内陸地震(直下型地震)の発生過程を考える上で、地震が発生する領域より深い下部地殻のレオロジー(物質の流動的な振る舞い)が重要とされています。下部地殻に局所的に「やわらかい」領域があると、そこに変形が集中するため、上部の断層に応力集中が起こると考えられるからです。実際に、下部地殻において変形が局所化している事は地質調査によって確認されています。変形が集中する理由として、水の影響が指摘されており、地殻深部での水の存在は物理探査からも支持されています。岩石の強度は水の有無によって大きな影響を受けます。下部地殻の温度圧力条件においては、岩石の塑性変形への影響が重要です。不純物である水の存在が、塑性変形を担う結晶欠陥を生じさせ、また、結晶界面での物質移動を促進させることで強度を低下させます。従って、水の効果を定量的に評価することが下部地殻の流動、ひいては上部地殻の地震活動を理解する上で非常に重要となります。近年では、高温高圧変形実験の技術発展によって、塑性変形に対する水の効果の定量的な評価が可能となりつつあります。しかし、下部地殻に相当する高温高圧条件を発生させることのできる変形試験機の差応力測定精度は低く、大きな誤差が生じてしまうことが課題でした。私は、粘弾性材料の力学挙動の解析に用いられる「マスターカーブ法」を応用し、試験機の差応力測定値を補正する方法を開発しました。そして、下部地殻を構成する主要な鉱物である斜長石の高圧実験の力学データに適用しました。補正後の応力測定値は先行研究が予測する強度に比べて明らかに低く、この事は、私が行った実験条件の封圧範囲内において、強度を低下させる水の効果がこれまで考えられていたよりも大きい事を示します。この結果から、下部地殻の水を含んだ領域の強度が従来の推定よりも小さくなることが予測されました。今後は、変形の素過程や圧力の効果を精査し、内陸地殻の断層帯の応力状態を模擬する基礎的モデルの精度向上に資することを目指します。「 水を含んだ下部地殻のレオロジー」木戸 正紀先端基礎科学領域博士研究教育院生3年理学研究科地学専攻江川 史朗東北大学生命科学研究科博士研究員(平成27 ~ 29年度博士研究教育院生)【発表のポイント】? 恐竜の最も顕著な特徴の一つとして、骨盤の股関節部分に穴が開いていることが知られている。? 本研究では鳥類(恐竜型)や爬虫類(祖先型)の胚を用い、「体のつくり方がどのように変化して、恐竜型の股関節の穴が獲得されたのか」を明らかにした。? 胚発生期の関節部分には特殊な細胞群が存在し、股関節部分の穴の有無は、この細胞群に対する骨盤の反応性の違いによって生じることが示唆された。【概要】元博士研究教育院生・江川史朗(現東北大学生命科学研究科博士研究員)さんらのグループは、恐竜の最も顕著な特徴の一つである“骨盤の穴”がどのように形作られるかを明らかにしました。本研究は、胚発生期に特有の現象に着目することで恐竜の形態進化のメカニズムを明らかにした画期的な報告です。本研究結果は、10 月17日?にRoyal Society Open Science誌(電子版)に掲載されました。(公開論文 http://rsos.royalsocietypublishing.org/content/5/10/180604)News江川史朗さんらの論文がプレスリリースされましたI n f o r m a t i o n【日 時】平成31 年3月4 日?・5 日?   【場 所】学際高等研究教育院 1 階 大セミナー室学際高等研究教育院生に選抜された大学院後期3 年(または4 年)の課程修了者たちの研究成果発表会です。一定の成果を得て修了するのに併せて、その成果について専門外の人にも解るように、極力専門用語を避けて口頭発表を行います。融合領域分野で活躍する大学院生が、研究活動の実績を披露いたしますので、多くの方々にご参加いただき忌憚のないご意見をいただければ幸いです。第9回 博士研究教育院生( D3) 研究成果発表会のご案内