ブックタイトルCo44

ページ
7/12

このページは Co44 の電子ブックに掲載されている7ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

Co44

学際高等研究教育院/学際科学フロンティア研究所東北大学クロスオーバーNo.4407数個の原子・分子が集合したクラスターは、分子と分子の間に働く相互作用を理解するための微視的モデルとして役に立つ。余剰電荷をもったクラスターイオンの気相実験(真空実験)では、質量分析計を用いて構成分子数を厳密に選択できるという、実験的な利点もある。クラスターイオンの気相実験の1 つに光解離実験がある。光解離とは、クラスターイオンが光を吸収して個々の分子・イオンに分かれる反応である。筆者の研究では、光解離反応を画像として観測することで、反応途中のクラスターイオンにおける分子間相互作用や反応メカニズム(動的な過程)を明らかにした。実験では、筆者の所属研究室で開発した、質量分析計と画像検出器を組み合わせた装置を用いた。図1 に、光解離反応の画像観測実験の概念図を示す。真空中に生成したクラスターイオンに、電場が一方向に振動するレーザー光(直線偏光)を照射した。そして反応後に散乱された生成物イオンの空間分布を、画像として検出した。ここでは例として、二酸化炭素分子の2 量体正イオン(CO2)2+ の、波長532 nm における可視光解離反応を紹介する。光吸収前の(CO2)2+ は、図2a のような安定構造をとる。これが可視光を吸収すると、CO2 とCO2+ に分かれる((CO2)2+ + h ν→ CO2 + CO2+)。図2bは、生成物イオンCO2+の観測画像である。観測画像には、偏光方向に沿って上下に分かれた分布と、中心付近の等方的な分布が存在する。画像の半径は、散乱後のCO2+ の速度に比例する。したがって、速度の異なる2 つの成分が存在しており、先行研究で指摘された2 つの反応メカニズムを世界で初めて画像として観測した。さらに理論計算によって、CO2+-CO2 間のポテンシャルエネルギー等高線図を計算したところ、速い成分はCO2+-CO2 間の斥力によるすばやい解離に、遅い成分は各CO2の回転を経た解離に帰属できた。山の形はなぜ山の形をしているのか、その形成メカニズムを解明することができるのかに興味を持って山岳・火山地形の発達について研究しています。山の形を決定する外的な作用は、河川侵蝕による斜面発達、氷蝕や岩石の風化、火山噴火による噴出物の堆積が挙げられます。それに対して内的な作用は、地球の内側で起こっている過程に起因するもので、例えばマントルの流動や地殻の内部応力の変化が考えられています。外的な作用は内的な作用に比べて直接の観測が可能なため、山が発達してきた現在までの状態を記述できます。しかし内的な作用による影響の程度は不明であることに加え、これら2つの作用による山の形を説明するパラメータを十分に導入していないため、全ての山々の形が何によって決まっているのか統一的に解明できていない問題があります。このような状況の中で、私はエントロピーというパラメータに着目した研究を行っています。エントロピーは、( 非可逆な) 熱力学の分野で、系の非可逆性の程度を表しています。エントロピーは熱が高温な物質から低温の物質に流れるという現象のもと、( 非平衡) 熱力学第二法則を用いて説明されます。そのため、高→低状態を示す( 質量) エネルギー系として、熱力学と地形学の対応から内的な作用と外的な作用の2つを包含する理論を新たに構築することが可能であると期待されます。これまでの研究例では、熱力学的なアナロジーが地形変数との間に成り立つという仮説が導入されています。そこで本研究では、ローレンツプロットという手法を用いて山の標高をエネルギー分布とみなして解析し、さらに山々を構成している要素を粒状体と捉え、非平衡条件下における山の形を定量的に検証しました。その結果、指数曲線を描く山の形や、火山地形が持つ非ランダム性の地形の傾向を明らかにしました。現在は、様々なエントロピー理論や拡散現象の観点から、山の形を一般的な理論で構築することを試みています。山の形の理論的解明により、幅広い分野へ貢献することを目指しています。「 エントロピー観点からみた山岳・火山地形の発達理論」「 気相クラスターイオンの光解離メカニズムの解明:反応をイメージングする」中島 祐司先端基礎科学領域博士研究教育院生3年理学研究科化学専攻金子 尚人先端基礎科学領域博士研究教育院生3年理学研究科地学専攻