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概要

Co44

学際高等研究教育院/学際科学フロンティア研究所東北大学クロスオーバーNo.4405多様な色彩をもつトンボ目昆虫では、一部の種において雌特異的な色彩多型が出現し、雄に体色の似る雌(オス型、青緑色)と、雄とは体色の異なる雌(メス型、橙色)が存在している(図)。トンボ目の雌特異的多型は、雄の性的ハラスメントによって維持され、トンボ目の広い分類群で独立に複数回獲得されている。しかし、このような雌多型にどのような遺伝子が関わるのかは不明であった。そこで本研究では、雌特異的な色彩多型をもつアオモンイトトンボを用いて雌多型の遺伝的制御を明らかにすることを目的とした。まず、アオモンイトトンボにおいて発色が行なわれる羽化直後の個体で遺伝子発現解析行った。その結果、表現型間で発現量の異なる遺伝子として、doublesex (dsx) やblack、ebony が検出された。dsx は、雌雄で同一の遺伝子配列でありながら異なるタンパク質を発現することで、昆虫のさまざまな形質(カブトムシの角など)において性差を生み出す遺伝子である。本種において、dsx の発現を観察したところ、雄とメス型雌で異なる転写産物(タンパク質の元になるもの)が発現していた一方で、オス型雌ではその両方が発現していた。次に、dsxが実際に体色に影響を与えるかを確認するためにdsx の発現を抑制させたところ、雄とオス型雌で発現していた転写産物を抑制した場合に、雄とオス型雌の体色がメス型雌の体色に変化した。さらに、昆虫の体色を制御することで知られるblack やebony の発現量を、dsx を発現抑制させた個体の体色が変化した部位としてない部位で比較した。その結果、dsx が発現抑制された体色が変化した部位ではblackやebonyの発現量が上昇していた。これらの結果から、本種では、dsx の雄とオス型で発現が見られる転写産物がblack とebony の発現を抑制し、青緑色の体色を生み出していると考えられる。細胞は生体膜を用いて自分とそうでないものを分けています。この生体膜は極性を持つ分子や大きな分子を通すことができません。そこで、他の細胞や外界の環境の変化を感知して細胞内に伝える、必要な栄養を細胞内に取り込む、いらないものを排出するなどの多様な仕事をしているのが膜に埋め込まれたタンパク質、即ち「膜タンパク質」です(図)。膜タンパク質はこの他にもミトコンドリアの呼吸や光合成など細胞のエネルギー生産にも重要なタンパク質であります。ちなみに,私は「膜タンパク質」と聞いたら、生体膜を介してカルシウムイオンを輸送するカルシウムイオン輸送体という膜タンパク質を思い浮かべます。私は現在、食料品やバイオ燃料の発酵プロセスで用いられる出芽酵母という微生物の環境ストレス耐性獲得機構について主に研究しています。酵母の環境ストレス耐性獲得機構を明らかにすることで、環境ストレスに強く、簡易に培養ができる酵母を開発するためのヒントを探しています。その中でも、私はカルシウムイオン輸送体が関わる環境ストレス耐性獲得機構について調べています。細胞が環境ストレスに晒されていることをカルシウムイオンの濃度変化によって細胞内に伝達する仕組みが存在します。私は酵母において4つのカルシウムイオン輸送体が関わる環境ストレス耐性獲得機構について調べています。細胞が環境ストレスに晒されていることをカルシウムイオンの濃度変化によって細胞内に伝達する仕組みが存在します。私は酵母において4つのカルシウムイオン輸送体を見つけ出すことに成功しました。そして、その4つのうち、1つのカルシウムイオン輸送体(ScOSCA4)が高浸透圧ストレスに応答してカルシウムイオンを輸送し、情報伝達を行うことを明らかにしました(図)。一方で膜タンパク質はその高い疎水性や細胞に存在する量が少ないなどの理由から正しい構造で大量に精製するのが難しいと言われています。そこで、私は極めて少量でも膜タンパク質の機能を調べることができるデバイスの研究にも挑戦しているところです。膜タンパク質はバイオセンサーや電池などへの応用が期待されています。皆さんも膜タンパク質について調べてみませんか。「「 膜タンパク質」と聞いたら,何を思い浮かべますか」「 アオモンイトトンボにおける雌特異的な色彩多型の遺伝的基盤の解明」高橋 迪彦生命・環境領域博士研究教育院生3年生命科学研究科生態発生適応科学専攻上原 千央デバイス・テクノロジー領域博士研究教育院生3年工学研究科バイオ工学専攻