高根大地さんらの論文がプレスリリースされました。

【発表のポイント】
トポロジカル物質中の新型粒子 -ディラック・ワイル粒子に次ぐスピン1および2重ワイル粒子- を発見しました。

【概要】
東北大学大学院理学研究科の佐藤宇史教授、同学際高等研究教育院 博士研究教育院生・高根大地(理学研究科博士課程後期1年)さん、材料科学高等研究所の相馬清吾准教授、高橋隆教授、同多元物質科学研究所の組頭広志教授、高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所の堀場弘司准教授、およびケルン大学(ドイツ)の安藤陽一教授らの研究グループは、高輝度放射光を用いた光電子分光実験により、コバルトシリサイド(CoSi)の内部に、これまで他のトポロジカル物質で観測されていたディラック粒子やワイル粒子とは異なる新型の粒子「スピン1粒子」および「二重ワイル粒子」が存在していることを発見しました。これらの新型粒子は結晶がもつカイラルな特徴により形成されたもので、不純物や欠陥からの散乱に対して強いトポロジカルな性質を持っています。今後、これらの新型粒子が示す物質機能の開拓が進むとともに、放射光を駆使することでさらに新しい粒子の発見が期待されます。

本成果は、米国物理学会誌フィジカル・レビュー・レターズの注目論文(Editors' suggestion)に選ばれ、2019年2月20日(米国東部時間)に、オンライン公開されました。

(公開論文 https://journals.aps.org/prl/pdf/10.1103/PhysRevLett.122.076402

図1:(a)ディラック・ワイル粒子、(b)スピン1粒子、(c)2重ワイル粒子における電子のエネルギー関係の模式図。
ディラック・ワイル粒子で2本の直線的なバンドが交差するが、スピン1粒子ではさらに平坦なバンドが加わり、
2重ワイル粒子では4本の直線バンドが交差する。いずれの場合も、すべてのバンドは一点で交わる。

詳細(プレスリリース本文)