佐藤佑介さんらの論文がプレスリリースされました

発表のポイント

  • 分子機械を統合制御するロボットを開発しました。
  • このロボットは、DNA分子を認識してタンパク質分子モータの力伝達をON/OFFすることで、アメーバのように変形する活動状態と静止状態とが切り替えられます。
  • 微小な環境ではたらく自動制御分子システムの開発に寄与するものと期待されます。

 

概要:
 博士研究教育院生・佐藤佑介、野村 M.慎一郎准教授らの研究グループはDNAやタンパク質などの生体分子からなる「分子機械」を人工細胞膜内に統合し、変形機構を制御する「アメーバ型分子ロボット」を開発しました。手の届かない微小世界に人間の意志を届けるための基礎研究です。
 近年、化学や合成生物学の分野において、生体分子を材料として用い、センサ(感覚装置)やプロセッサ(計算機)・アクチュエータ(駆動装置)と呼ばれるさまざまな分子機械を作る要素技術が確立しつつあります。分子ロボットとは、これらの分子機械を統合し、協調して人間の命令どおりに動作させる制御システムです。体内などの極小かつ複雑な環境下で精密に命令通りに働くことのできるロボットの実現は、人間の可能性を大きく引き上げる技術として期待されます。
 今回開発されたアメーバ型分子ロボットは、信号を認識してアクチュエータを制御するというロボットシステムを分子機械の統合によって実現した世界初の成果です。本成果をプラットフォームとして、今後さまざまな機能を持つロボット開発が進むことが期待できます。将来的には、細胞レベルでの診断・治療や環境汚染のモニタリングなどへの応用が期待できます。
 これらの研究成果は2017年3月1日に、アメリカ科学技術振興協会(AAAS)刊行の科学雑誌Science Roboticsに掲載されました。

 

詳細(プレスリリース本文)