全領域合同研究交流会とは

趣 旨

現代において国内そして地球規模で起こっている環境、エネルギー、生態系、食料、文明、経済、医療等々の問題を見るとき、多くの学問的要素が複雑に絡み合っていることがすぐ分かります。それは学際研究、異分野融合研究の必要性・重要性を示しています。一方で、各専門分野の研究においても、発展を妨げる壁にぶち当たったとき、異分野の考え方を取り入れる「広い視野」とそこから新しいアイデアを見出そうとする「心の余裕」が必要になってきます。自分の分野への利益だけでなく、自分の考えが他の分野の発展に寄与できるかもしれないというイメージも大切です。学際研究、異分野融合研究、そして各専門分野の発展は、異分野研究者どうしのface to faceの交流から始まります。インターネットが発達し、個人がパソコンなどで容易に様々な情報に触れられる時代になったとしても、やはり研究者にとって人と実際に会って話すときほど情報を効率的に深くやりとりできることはないということです。本交流会は、若手研究者、院生が分野・領域を問わず一堂に会し、自分の研究と分野全体について専門用語を使わず分かりやすく伝え、それを参加者が真摯に議論することで、異分野交流を実践し、様々な形で研究の発展を図ります。
 異分野交流は異文化交流と同様に骨の折れる作業です。自分の研究の重要性を伝えるには、異分野の研究者が普段何をどう思考しているのかを知ることがベースになります。そして重要性に加えて、個々の研究の「面白さ」を伝えることが交流のキッカケとなります。自分の研究をうまく伝えることは、実際的に、研究費の獲得や社会への還元にもつながることです。本交流会がその点で効果があることは参加者の感想やいくつかの統計的数字に表れています。
 さあ、専門分野からいったん出て発言しよう。批評しよう。刺激を受けよう。 

参加者
    • 学際科学フロンティア研究所の教員
    • 学際高等研究教育院の研究教育院生
    • その他(誰でも参加歓迎)
     分野・領域を問わず、合同で議論します。

運営委員

平成26年度より開催された交流会は、当初、学際科学フロンティア研究所の教員有志の熱意の拠るものでしたが、平成29年度後半よりD2の研究教育院生が主体となり開催されています。

研究教育院生は、自分の研究の将来への発展を考えるためには他の研究者との人間的交流が必要になりますが、単に交流会に参加するだけでは、その効果が十分ではないことが分かりました。そこで研究教育院生が、この交流会の運営に主体的に関わることによってその効果を上げることができると考えました。研究教育院生自身が、自分たちのために交流会の形式を企画し運営する。教員はそのアドバイザーに回る。企画・運営は単なる事務作業ではなく、自分の新たな研究につなげるための研究の一環の作業と位置付けているものです。

研究教育院生が主体に活動を始めてから、こちらの方々が交流会の運営委員として活躍しています。
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参加者からのメッセージ

交流会は、総合知鍛錬の場


全領域合同研究交流会とは何か?私は、この会を「総合知鍛錬の場」、平易に表現すると「研究はみんな違って、みんな楽しい」そんな会と思っています。
自分の研究を面白く話すのは難しい作業だと思っていて、私は交流会の発表ではいつも相手に伝わっているかどうか、実はかなり緊張しています。以前、あくまで各人は大学院で専門を極めつつあるエキスパートなのに、説明レベルを「中高生・一般の人」向けまで寄せてしまい「そんなこと知っている」と齟齬を生んだ経験があるからです。起承転結、自分の研究の5W1H(What, Who, When, Where, Why, How)を明確に、科学的にエッセンスを伝える。その訓練の場と思って、参加しています。
学際高等では融合研究実現を目標に掲げていますが、その実現が私の中で起こったエピソードを一つ紹介します。交流会にて、天文学の助教から”宇宙に打ち上げた望遠鏡で地球を観察する”「宇宙望遠鏡」についてうかがった時のことです。「地球を”宇宙空間の中の地球”として見るように、がんを”正常細胞に囲まれて生体内に存在する がん”として見てみたら?」という発想を得て、当時行き詰っていた研究の突破口になりました。がんと微小環境、という研究フィールドは既知のものでしたが、自分なりに納得し、今の研究での強力なモチベーションになっています。
研究には混沌から秩序を探り当てる美しさがあると思っています。交流会参加のために実験スケジュールをやりくりしなければいけないのは、確かに大変。それでも、研究して生きていこう、言うなれば混沌の中に身を投じようと決めた今、秩序の一欠片に出会うためにも私は交流会に行くのです。          
【記:平成28年度博士研究教育院生採用  林 真貴子 さん】

運営委員からのメッセージ 

平成30年度 全領域合同研究交流会運営委員報告
≪東北大学クロスオーバー№40より抜粋≫

 

全領域合同研究交流会(以下、交流会)は、学際科学フロンティア研究所教員と学際高等研究教育院の大学院生(以下、研究教育院生)が分野を問わず一堂に会し、研究紹介および議論を通じて異分野交流を行う集まりです。平成26年度に始まり、昨年度で5年目の開催を終えました。平成29年度より、研究教育院生の積極的な参加による交流会の活性化を図るため、教員ではなく研究教育院生が主体となった運営体制へと移行しています。以下では、その運営に携わった者として、私見も交えつつ平成30年度の交流会運営に関してご報告させていただきます。

昨年度は、ポスター発表と口頭発表の2セッションを合わせて約2時間の形式で開催し、一回あたりポスター発表は10件程度、口頭発表は1〜3件行われました。発表者は研究教育院生が中心ですが、後期からは学際科学フロンティア研究所の若手研究者にも各回1、2件のポスター発表を募ることで、研究教育院生が学際的研究の最前線に触れ交流する機会を設けることができました。また、従来からの課題であった参加者数の底上げに関しては、前期(4月〜7月)から運営に様々な試行錯誤を行ってきた結果、後期(10月〜2月)に開催した全5回の交流会において、各回およそ60名(うち、研究教育院生が40名程度)の参加者数を達成することができました。この数字はこれまでと比べて大幅な増加のようです。実際にどういった要素が参加者の増加に効果的だったのかは評価が難しいですが、以下に私たち平成30年度交流会運営委員の取り組みを紹介することで交流会の今後のさらなる発展につながれば幸いです。

まず、交流会に積極的に参加してもらうためにはどうすればよいか。この点について運営委員による議論を重ねました。そして、本来の趣旨である異分野融合や新領域創成といった堅苦しいことはさておき(もちろんそういった場になることを目指していますが...)、聴衆にとっては気軽に異分野の面白い研究の話を聴くことができる場とすること、そして、そうした場を実現するために、発表者にとっては異分野の人にも理解できるようなトコトン分かりやすい発表を追求する場とすることが重要ではないかとの結論に至りました。そこで、その旨を全体への開催通知や発表者に対しての準備依頼において周知するとともに、口頭発表者には事前に準備したプレゼンテーション資料を学際科学フロンティア研究所の教員にチェックしていただきフィードバックを得るという試みを行いました。その結果,以前よりも異分野の人にも理解しやすい表現の発表が増えたように思います。この場を借りて、事前チェックしていただいた先生方に御礼申し上げます。また、ポスター発表においても、参加者の興味をひく発表が一つでも増えるように発表件数を増やしたり、参加者がセッション時間内に満足に発表を聴くことができるように発表時間を15〜20分ごとに区切って効率的に聴衆が発表を見て回れるような工夫を行いました。

実際に発表した者として個人的に良かったと思うのは、口頭発表者への聴衆からのフィードバックの仕組みの導入です。発表後に聴衆に自由に意見・感想を紙に書いてもらい、そのまま発表者にフィードバックすることを行いました。思った以上に多くの方(約20人)からのコメントをもらうことができました。私自身は、誰にでも分かるレベルで発表をしたつもりでしたが、聴く人によってはまだ分かりづらい点もあったことや、異分野の方が感じる私の研究の面白さなどを知ることができ、非常に有意義であったと思います。このような、発表者による分かりやすい発表をしようという努力とその結果に対する聴衆のフィードバックが好循環を生み出し、良い交流会を創りあげていくのではないでしょうか。 

最後に、今後の交流会についてですが、発表の質、参加者数などまだまだ改善の余地があると思います。より良い交流会を実現すべく改革を行う積極的な研究教育院生の登場を期待しています! 一緒に異分野交流を楽しみましょう。

学際高等研究教育院 博士研究教育院生 全領域合同研究交流会運営委員
生命・環境領域 工学研究科 安井 浩太郎

令和元年度 全領域合同研究交流会運営委員報告 
≪東北大学クロスオーバー№44より抜粋≫


 
全領域合同研究交流会(以下、交流会)は、本組織で最も盛んに学際交流が行われる場です。学際高等研究教育院生と学際科学フロンティア研究所教員がその専門を問わず一堂に会し、研究紹介や議論を行っています。平成26年度に始まり、昨年度で6年目の開催を終えました。平成29年度より、研究教育院生の積極的な参加による交流会の活性化を図るため、教員ではなく研究教育院生が主体となった運営体制へと移行しています。この紙面では、令和元年度の交流会の運営体制と雰囲気、その今後について、私見を交えご報告させていただきます。

交流会運営について

本会は例年8、9回行われ、昨年度は前期に3回、後期に5回の交流会が開催されました。各会はポスター発表と口頭発表の2セッションを併せて約2時間の形式で行われました。発表件数はポスター発表が12件程度、口頭発表が3件です。発表者は教育院生が中心ではありますが1、2件は学際科学フロンティア研究所の若手研究者に発表いただくことで、学際研究の最前線に教育院生が触れる機会を設けています。

ポスター発表

一昨年度から昨年度前期にかけては前後半30分ずつのコアタイムを設けて発表する形式を採用していました。しかしながら参加者の増加に伴い、発表あたりの聴講者が多く深い議論を行うことができないという意見が挙がりました。そこで、昨年度後期からは前後半に分けず50分間のコアタイムと10分間の議論の時間を設けることとしました。発表時間は変わらず、多くの発表を聴講できるようになったため、参加者からは好評いただいています。

口頭発表

一昨年度と引き続き、各発表あたり質疑含め20分間の発表時間を設けました。発表者はD2を中心に選出しました。また発表をより良くするため、當真先生をはじめとして学際科学フロンティア研究所の教員の皆様のご協力のもと、発表者が事前に発表資料に関するコメントを得られるようにしています。ご協力いただいた教員の皆様にはこの場を借りて御礼申し上げます。

質疑応答

本会では、口頭発表時の意見交換の時間が不十分であること、聴講者間の交流が不十分であることが課題として挙げられていました。そこで昨年度から導入したのがslidoと呼ばれる勉強会や会議における質疑応答に特化したクラウドサービスです。 Slidoの導入によって、これまでコメントペーパーに記入していただいていた発表への意見をブラウザ上でリアルタイムに確認できるようになりました。さらに、発表時に提出いただく「発表者が求めるアドバイス」を聴講者から効率的に収集できるようになりました。また、口頭発表で集められた質問は後日発表者の方に回答書を作成していただき、教育院生に配布しています。

学際交流について

昨年度の交流会は一昨年度と同様、多くの参加者に恵まれました。ポスターセッションでは、発表時間後にも議論を続けている様子が多く見られ、口頭発表でも質問が絶えず、活発な議論が行われていました。議論の内容に関して印象に残っている点を挙げるとすると、多分野に通底する課題やアプローチがあるということです。一見大きく異なる研究においても多くの共通部分が存在する、その実感を通して俯瞰的な視座を有することができれば、学際研究を進めていく上で大きな武器になるのではないでしょうか。また、昨年度の交流会で活発な議論が多く行われたのは皆様の素晴らしい発表があってこそのものであると思います。昨年度すべての口頭発表を拝聴させていただきましたが、どの分野の研究発表も非常に楽しませていただきました。研究内容はもちろん発表方法に関しても非常に勉強になりました。質の高い発表を多く経験することができることも本交流会の魅力だと思います。

本年度以降の交流会に向けて

さて、本年度は教育院生の定員が削減されることもあいまって、活発な議論を続けるためには多くの工夫が必要であると考えられます。後期の運営に携わった身として意見を述べるとすれば、発表者のみならず聴講者を含めたすべての参加者が“楽しい”と思える交流会づくりが重要であると思います。 議論のために発表時間を延長することは容易ではありますが、参加のハードルが上がってしまいます。限られた時間の中で濃密な議論と交流をいかに実現するか。今後の交流会運営に期待しています。

最後になりますが、全領域合同研究交流会のさらなる発展をお祈りするとともに、昨年度交流会の運営にご協力いただいた皆様に御礼申し上げます。

学際高等研究教育院 博士研究教育院生 全領域合同研究交流会運営委員
情報・システム領域 工学研究科 鈴木 朱羅

令和2年度 全領域合同研究交流会運営委員報告
≪東北大学クロスオーバー№48より抜粋≫

 

全領域合同研究交流会(以下、交流会)は、学際科学フロンティア研究所の教員の皆様と学際高等研究教育院の大学院生(以下、研究教育院生)とが一堂に会し、研究発表を行い、議論をすることで分野・領域の垣根を越えた交流を図る場です。平成26年度より始まった交流会は昨年度で7年目を終えました。本稿では交流会運営委員として、私見も交えつつ、オンラインでの開催という新たな試みに挑戦した令和2年度の交流会に関してご報告をさせていただきます。

  1. オンラインでの交流会開催について

 本年は後期から交流会が再開され、10月より全4回の交流会をオンラインにて開催いたしました。7月に行われた懇談会において委員として任命を受け、どのような形でオンライン交流会を実施するのか、先生方や前年度の運営委員の皆様と議論をしながら、話し合いを進めて参りました。より多くの研究教育院生に発表の機会を設けるため、例年通り1回の交流会においては、3件の口頭発表と10件程度のポスター発表を依頼することにいたしました。
どのオンラインツールを使用するかに関しては試行錯誤の連続でした。ポスター発表では同じ時間帯に複数のオンラインでのルームを用意する必要があること、また、誰にとってもわかりやすい参加方法であることを中心に据え、前半2回ではgoogle meetを使用いたしました。しかしながら、第2回を終え参加者の皆様にアンケートを実施した際、google meetでは、発表者は画面共有をすると参加者の顔が見えなくなるという、大きな欠点が見出されました。そこで、後半2回の交流会はzoomを使用しての開催に変更をいたしました。1つの部屋 (URL) 内で複数のルームを作ることができ、参加者も自由に行き来できますので、ホスト・ゲストともにストレスなく交流会に臨める点が強みだったのではないかと思います。現在ではオンラインでの学会発表も主流になっておりますので、今後、より使用しやすいツールが出てくることも期待できます。本年度以降もオンライン開催が続く場合には、ニーズに応じて使用するツールを臨機応変に変えていただければ良いかと思います。

  1. 口頭発表

 各発表あたり、質疑応答含め20分間の持ち時間としました。発表者には事前にスライドを提出してもらい、発表をより良くするため、當真先生をはじめとする学際研究フロンティア研究所の教員の皆様に添削をお願いいたしました。ご協力いただいた先生方に対し、この場をお借りして御礼申し上げます。また、口頭発表では時間が足りない場合にも十分に質疑を受けるため、一昨年度に引き続き、質疑応答に特化したクラウドサービス「slido」を導入しました。寄せられた質問は後日、発表者に送り、回答はメーリスにて参加者に共有しました。

  1. ポスター発表

 前半2回の交流会においては、1時間の中にコアタイムを設けず、時間内に自由にポスターを閲覧し質疑できるようにしました。一方、後半2回では20分間×3回の区切りを設け、それぞれの時間内にポスターの説明と質疑応答を完結してもらうよう発表者にお願いしました。これにより、人の流れを起こし、多くの人に複数のポスターを閲覧してもらえるようになりました。さらに後半2回では、ポスターを1枚にまとめるという制約をなくし、複数枚のスライドに分けても良いとしました。これは、1枚にまとめると字や図が小さくなってしまい、発表者による画面共有では、聴講者が細部まで読みづらいという欠点があったためです。

  1. 現状の問題点と今後の交流会について

 まず、オンライン開催に関しては長所と短所それぞれが感じられました。大きな長所は、特に研究室が青葉山にない研究教育院生は、参加がしやすくなった点です。移動に時間とお金がかかりませんので、これは良い点として挙げられます。しかしながら、期待するほど参加者は増えておらず、例年通りの参加者数となっていました。一方、短所としては、参加者同士の交流が十分に図れていないのではないか?という懸念が挙げられます。前年度までのような現地での開催ですと、実際に顔を見合わせ、時間の制限なく交流会後も議論を続けることは可能でしたし、そのハードルも低かったのではないかと思います。

 今後の開催形式は不透明ですが、たとえオンラインであっても、参加者に有意義な会であると感じてもらうような工夫が必要であると感じます。一方で、交流会が有意義なものになるかということは、発表者・参加者である我々研究教育院生一人ひとりのモチベーション次第であるとも思います。限られた時間の中で、自分の知見をより広めるよう、前のめりな気持ちを持って積極的に学際交流を図っていくことが、何よりも重要なことだと思います。

 最後になりますが、全領域合同研究交流会が良い形で続き、更なる発展をしていくことを望むとともに、昨年度、交流会の運営にご協力いただいた全ての皆様に心より感謝申し上げます。

学際高等研究教育院 博士研究教育院生 令和2年度 交流会運営委員
生命・環境領域 生命科学研究科 丸岡 奈津美